本業である靴の仕事で、あるギャラリーで開催されたPOP UP STOREの販売応援に行ったときのこと。
ギャラリーの常連さんに一通り商品を見てもらい、その中でお気に入りスニーカーを見つけてもらったんだけど、残念ながらサイズ欠け。そこでボクは軽い気持ちで「ECならサイズありますよ」と言ったら「ここで買えないなら意味がないもんなぁ。」と言われた。そこにお店のオーナーが近づいてきて、「こっちの方が似合うと思うよ」ということで持ってきたのがまさかの革靴。ボクからしたら「えっ、このお客さんはスニーカー探してますけど〜」と、はてなマーク。
でもお客さんはお薦めされた革靴を試着して、結局それを嬉しそうに買って帰ったんです。ちなみに接客中は靴についてはサラッと話しただけでお客さんの近況報告がほとんど。
このとき二人には長い間、積み重ねてきた信頼があるんだなとすぐ理解した。ふと、この関係性がとても懐古的である反面、ものすごく未来的だと感じた。たとえば、ファッションだとインターネットもなかった時代は地元のセレクトショップのオーナーが薦めた服がカッコいい服の一択だった。インターネットが普及したらいろんな情報が取れる様になり、選択肢が増えた。しかし、情報が多すぎて今では何が良いのか分からなくっているというのが現実。つまり、どうやって情報を集めるかではなくて、どう絞り込んでいくかが重要になってきた。絞り込むためには信頼できる個人やコミュニティが必要不可欠。だからこそ、お店を運営する上でオーナーは常連さんが似合うもの、好きなものを本人以上に理解している必要がある。そうなることで絶対的な信頼が積み重なっていく。ECで何でも買える時代、信頼の積み重ねこそが実店舗の存在意義だと、この経験を通して思ったのであーる。当たり前のことなんだけど、実体験で身に染みたと言うお話。
そういえば、オーナーに「お客さんとの信頼関係がすごいね」と言うと、「ボクは男っぽい接客スタイルだから」という謎の回答をもらったなw