
洗濯物をたたんでいて、ふとSOWBOWのワイドパンツの生地に目がいった。
「だいぶ表情が変わってきたな」
そう、このパンツの生地にはちょっとした文脈がある。
さかのぼること7年前。当時、靴用にオリジナルの久留米絣を作ってもらった。経糸(たていと)には藍染のネイビー、緯糸(よこいと)にはログウッドを使って草木染めしたカーキの糸を使用している。この2つの色が織られることで、墨黒のような深い色合いになる仕掛けだ。
個人的には、単色に見えるのに角度によっては色味が変わるところがグッときて、すごく気に入っていた。ただ、そのこだわりがかけたコストほど、見た目には分かりにくいという致命的な欠点もあって。結果として、靴はあまり売れなかった(笑)。当然、生地だけが手元に残ったというのが現実だ。
それからしばらく経った4年前。アパレルブランド”SOWBOW”にお願いして、その残っていた生地でワイドパンツを作ってもらった。そこから春・夏・秋の3シーズン(冬は寒い)、週1回ぐらいのペースで履き続けるヘビロテアイテムに。
そして今日。改めて生地を見てみると、藍色が強く出ている場所、逆にログウッドのカーキが強く出ている場所があって、新品の頃にはなかった豊かな表情を見せている。
デニムを育てるのも楽しいとよく聞く。インディゴの濃度の変化や、皮脂汚れによる黄変など、自分だけの一着になっていくプロセスだ。でも、このパンツの場合は藍色の濃淡に加えて、ログウッドのカーキも影響してくるところがさらに複雑な表情を見せる。2つの天然染料が、摩擦や洗濯を経ることでそれぞれに主張し合っているのが面白い。
毎日自転車に乗っているせいか、お尻の辺りの生地がだんだん薄くなってきている。それでもできるだけ長く履きたいので、刺し子なんかで補強して『ボロ』のように着続けようかなと模索している。